「JR田沢湖線小岩井駅本屋」が国登録有形文化財(建造物)に登録されました。
令和7年8月6日付けで「JR田沢湖線小岩井駅本屋」が国登録有形文化財(建造物)に登録されました。
滝沢市における国の登録有形文化財は「JR田沢湖線小岩井駅本屋」が1件目となります。
小岩井駅の歴史
小岩井駅は大正10年に開業され、その長い歴史の中で地域住民の足や観光の玄関口として貢献を続けてきました。
岩手県の偉人である宮沢賢治も大正11年に開業したばかりの小岩井駅(当時の小岩井停車場)を下車し、小岩井農場を訪れたとされています。そして賢治は「春と修羅」長篇詩「小岩井農場」の中で、当時の小岩井停車場を「つつましく肩をすぼめた停車場」と愛着を持って表現しています。
復元改修工事
近年は、狭い待合室に加え、築100年以上が経過した駅舎の老朽化が課題となっていました。
そこで、歴史的価値を残しつつ、地域住民の交流の場や観光の拠点として活用したいという思いから、国の登録有形文化財の登録を目指し、東日本旅客鉄道株式会社様や小岩井農牧株式会社様の協力のもと、復元改修工事を実施することになりました。
復元にあたっては、AIによる復元技術を活用し、過去の駅舎のモノクロ写真を基に建材や色合いを選定したほか、駅舎内もステンドグラスや格子状の窓を使用し、切符売り場はそのまま残すなど大正時代のレトロな空間に仕上がりました。
また、小岩井農牧株式会社様から復元の参考資料や旧国鉄時代に走行していた車両シート(東日本旅客鉄道株式会社提供)をリメイクした待合室用ベンチの他、駅開業と同年代の木材を一部使用した椅子やテーブル、駅名標を提供いただきました。
小岩井駅復元リニューアル記念式典
令和5年12月3日 日曜日 、小岩井駅完成を記念した小岩井駅復元リニューアル記念式典が開催され、駅名標の除幕やテープカットの他、ふうりん保育園の園児によるふうりん太鼓や、大沢さんさ踊り保存会による演舞が披露されました。
式典の後には、小岩井自治会による豚汁のお振る舞いもあり、会場は駅舎を訪れた人で賑わい、たくさんの笑顔が溢れました。
交流の場として
工事終了後、現在は市が管理者となり、清掃などの業務を小岩井自治会に委託しています。
小岩井自治会では毎年、ふうりん保育園の園児たちによる植栽や小岩井駅を活用したまつりを企画するなど、地域に根ざした活動を積極的に行い、小岩井駅舎を地域の温かい交流の場にしています。
また、さまざまな団体が地域サロンやパン販売、ハンドマッサージ出典などを行い、人々が集う場所としての活用も広がっています。
地域のシンボル
復元改修工事と完成後のにぎわいづくりが高く評価され、一般社団法人全日本建設技術協会主催の令和6年度全建賞インフラの部を受賞しました。
小岩井駅は、国の登録有形文化財として、地域住民の交流の場、観光の拠点として、歴史と文化を未来へとつないでいきます。
大正レトロと現代の技術が調和する駅舎を訪れて、その魅力に触れてみてください。
所在地
滝沢市大釜風林
所有者
滝沢市
年代
大正10年(1921年)建設、昭和後期・令和5年改修
登録基準
一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
登録(官報告示)年月日
令和7年8月6日
小岩井駅(令和7年度撮影)