第八章 本村の工業

 本村の工業は全く貧弱である。しかし工場適地があるので、最近では工場誘致が盛んに計画され、現に誘致された工場もある。工場を誘致するにしても、岩手県の工業は一般に自然的条件が不利であること、すなわち、積雪寒冷であるから、燃料費を必要とするために人件費が高くなり、また道路・鉄道が充分に整備されていない上に、積雪のため冬季の交通条件が悪くなり輸送費が高くつくので誘致は容易でない。それだけでなく、消費人口が稀薄であり、大消費地から遠いためどうしてもコスト高になるし、従来の工業産業構成が低位加工生産であり、企業間の関連が乏しいために工場誘致がおくれる。

 本村の工場は昭和三十五年に二、同三十九年は三になった。周辺町村で大きな増加は西根で、十八から三十三になっている。雫石は二十八から三十四になり、その他の本村周辺町村における工場増加には変化はない。従業員の増加をみると、滝沢村では同三十五年に三十六人、同三十八年に五十三人になり、玉山村では二百九十五人から四百二十一人になり、岩手町は二百六十一人から三百三十一人、西根は二百三十一人から三百七十五人に増加、松尾は鉱山除きで六十人から百二十三人、雫石では三百二十人から四百三十八人に上昇。都南では七十八人から百七十八人という二二八・二%の増加であるが、工場数には変化がない。矢巾は百八十四人から二百十八人になっている。出荷額では五一一・七%、都南が六〇一・〇%の上昇であり、玉山が二三六・五%、矢巾が二一八・三%、本村が二〇七・五%の増加である。本村の工業種は木材・木製品製造業である。最近中央に本工場を持つ分工場が本村に誘致された。その工種は自動車関係の工場である。

 第八章も『滝沢村の実態とその基本的開発構想』によった。