第九章 社会福祉

第一節 本村の社会福祉協議会

一 はじめに

 社会福祉事業は、国民の広い階層を対象とせず、困窮者を個別に扱うものである。すなわち、昭和二十六年に定められた社会福祉事業法に基づいて貧困・心身障害・幼弱・老衰などを救済・援護・更生するため制度化し実施されたものである。これには公共、民間二つの経営がある。

 本村においては、このときから役場が中心になり事業を開始したので競ったが、昭和四十一年に至り、七月二十二日に社会福祉協議会の設立をみている。会員構成は村内の社会福祉事業団体、同民生(児童)委員、行政連絡員、婦人会長、青年会長、学識経験者、行政機関の関係者であって、その目的は社会福祉の進歩発展を図り、さらに増進することであるとしてある。

二 児童福祉

1 遊び場

 児童福祉については児童憲章に基づいて児童の健全な遊び場を設置し、児童の健康を増進するために、赤い羽根共同募金の配分をうけて、下記のように設置をみている。

遊び場の設置→

2 春季季節保育所

春季季節保育所→

三 共同募金

 国民助けあい共同募金運動は社会福祉事業の一環として、昭和二十三年より全国的に実施されたが、この募金は単に金を集めるだけではなく、広く国民が助けあいの精神で明朗な社会をつくろうとする精神運動である。

 この寄附金が都道府県を単位とした地域の民間社会福祉事業団体に助成金として配分されるが、本村の社会福祉協議会にも配分され、歳末助けあい募金等と共に、社会福祉事業を行う法人、一般施設、団体、生活困窮者へおくられている。

 本村の分会会長は村長、事務局長は住民課長、係は住民係となっていて、それぞれ兼務となっている。

共同募金調→

四 敬老会

 老人を大切にすることについて、戦後政府は九月十五日を「としよりの日」と定め、老人に対して感謝と慰安をかねて各種の催しがもたれているが、本村においては六十五歳以上の老人を対象とし、社会福祉協議会が主体となり、毎年「としよりの日」を中心に各地区の婦人会が協力して敬老会を開催している。

 なお、昭和四十四年度から、当日の出席者に対して血圧測定を実施している。

対象者数→

五 心配ごと相談

 心配ごと相談事業は、社会福祉協議会活動中重要なものとして進められて来たのであるが、昨今、社会の激動に伴い、年々ケースの内容が多様化し、この活動が最も重要視されてきたので、委託事業として推進するよう勧奨されたのである。よって、本村の社会福祉協議会においては、昭和四十四年から実施することになり、補助金の交付により、相談員を設置し、特別会計をもって運営にあたることとなった。昭和四十六年度における財源は村補助金八万円、県委託金四万円、計十二万円となっている。

 相談所には、中央心配ごと相談所と巡回心配ごと相談所の二つがあり、前者の中央相談員は七名、後者の巡回相談員は民生委員の十五名となっている。

相談種別分類→

第二節 民生委員会

一 民生(児童)委員

 民生(児童)委員は、市町村の区域ごとに厚生大臣の定める定数に基づいて、民生委員推薦会が推薦し、厚生大臣が委嘱することになっている。

 本村においては、昭和二十三年四月一目に初代民生委員兼児童委員十名が任命され、同二十六年四月二十九日には九名、後法の改正により、同二十八年十二月一日より三年任期となり、その後徐々に増員し、同四十六年度は十五名となっている。発足以来二十三年間に五十七名の民生(児童)児童委員が厚生大臣から委嘱され、社会の奉仕者として貢献したのである。

 民生(児童)委員は、民生委員協議会を組織し、総務一名、副総務二名(内婦人委員一名)を民生委員の互選により定め、任期は一年で、十二月一日より翌年十一月三十日までとなっている。

二 生活保護

 保護家庭に対しては、社会福祉協議会の協力を得て、職業の斡旋、生業の援護をなし、勤労精神の昮揚を図ると共に支出の節約を図り、生活水準の向上に努めるように指導をしている。

 従来の保護事務は、村長にその決定権が与えられていたが、昭和二十六年五月、法の改正により、新たに保護事務を司る福祉事務所が設置され、権限が所長に移管され、村長は、地方自治法の見地より積極的に協力をすることになった。

生活保護費交付状況→

第三節 国民年金

 国民年金は、厚生年金や恩給等年金制度の適用を受けない自家営業者・農民・零細企業の業主・従業員などを対象とし、老齢・廃疾・死亡の事故等の場合に、国民の共同連帯によって、国民の生活が安定することを目的とした拠出制の年金でおって、昭和三十四年四月制度化されたのである。

 給付の種類には、拠出制の老齢・通算老齢・障害・母子・準母子遺児・寡婦の各年金と死亡一時金があり、無拠出制には老齢・障害・母子・準母子の各福祉年金がある。本村においては前者は昭和二十六年四月から、後者は同三十四年十一月からそれぞれ実施されている。同四十六年十月末現在の前者の受給権者中、老齢は六人(二九七、〇〇〇円)、障害は五人(五五二、〇〇〇円)、母子は二十三人(二、一九三、〇〇〇円)、遺児一人(九一、二〇〇円)、死亡一時金五人(六二、〇〇〇円)で、後者の老齢は三百二十五人(三、七一六、二四五円)、障害二十九人(九三六、二〇〇円)、母子六人(一一一、八〇〇円)となっている。

 保険者は政府で、被保険者は国内居住の二十歳以上六十歳未満の国民であって、加入者の配偶者、学生などの任意加入も含まれる。

 保険料は三十五歳未満は月百円、それ以上は月百五十円の一律定額制で、納入済期間二十五年以上の者が六十五歳になると支給されるが、低額のため老後の生活保障までには至っていない。